医師法21条、厚労省が初の解釈通知諸般の事情考慮し、死体に異状を認める場合には警察に届け出

M3.com レポート 2019年2月13日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)
 厚生労働省は2月8日付で、異状死体の所轄警察署への届け出を定めた医師法第21条に関する医政局医事課長通知「医師による異状死体の届出の徹底について」を、都道府県および医療関係団体に発出した。 「医師が死体を検案するに当たっては、死体外表面に異常所見を認めない場合であっても、死体が発見されるに至ったいきさつ、死体発見場所、状況等諸般の事情を考慮し、異状を認める場合には、医師法第21条に基づき、所轄警察署に届け出ること」(通知の原文)という内容。 通知の背景について、「近年、『死体外表面に異常所見を認めない場合は、所轄警察書への届出が不要である』との解釈により、薬物中毒や熱中症による死亡等、外表面に異常を認めない死体について、所轄警察署への届出が適切になされないおそれがあるとの懸念が指摘されている」(通知の原文)と説明。 厚労省医政局医事課長の佐々木健氏は、この時期に通知した理由について「21条の解釈について、いろいろな問い合わせがあったため」と説明。佐々木課長によると、医師法第21条に関する解釈通知を同省が出すのは初めて。 医師法第21条について、厚労省が解釈を示した例としては、医療事故調査制度創設に向けた厚労省の検討会における、2012年10月26日の当時の医事課長発言(『「診療関連死イコール警察への届出」は誤り』を参照)、2014年6月10日の当時の田村憲久厚労相の参議院厚生労働委員会での発言などがある。佐々木課長は、「今回の通知で新解釈を出したわけではなく、医師法を所轄する医事課として、従来からの考えを明確化したもの」と説明、過去の課長発言や大臣答弁とも矛盾していないと説明する。

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