たばこ箱に「不快な」警告画像 見送る日本、世界に遅れ

朝日新聞 2019年2月8日
 たばこ箱の「喫煙は健康を害する」という警告文。いまは包装の3割の面積だが、来年4月から5割に増える。東京五輪を前に財務省が決めた。世界保健機関(WHO)が2003年に定めた「推奨」の水準にやっと達するが、諸外国では見た目に害がわかりやすい画像を使うなど、もっと強い表現がふつうだ。 膨れた舌(フランス)、真っ黒い肺(トルコ)、巨大な腫瘍(しゅよう)(インド)、白濁した眼球(カザフスタン)、ぼろぼろの歯茎(イタリア)、血を吐く女性(デンマーク)、吸い殻の詰まった内臓(ブラジル)。すべて、たばこの包装に描かれた画像だ。 カナダがん協会の昨年の調査では、118の国と地域がこうした画像を採用する。たばこによる健康被害を減らそうという意識が高まり、21世紀に入って増えた。文字より効果的に健康への影響が伝わり、未成年者の喫煙防止にも効果があるという研究もある。 だが、財務省は今回の改訂で採用を見送った。16年に行ったアンケートで、こうした画像は「過度の不快感、恐怖感を与える」と回答した人が61%に及んだからだ。 もっとも、同じ年の国立がん研究センターの調査では、画像の不快感は同様の結果だったが、警告表示に画像を入れることには成人の70%、喫煙者でも46%が賛成した。不快だが必要という意識は、日本人の間でも高いようだ。 カナダ、タイ、ロシアといった国々は店頭でのたばこ陳列を禁じる。店員に銘柄を告げると棚の奥などから出される。この方式なら非喫煙者が画像を見る機会は減るが、財務省の審議では話に上らなかった。
長くわかりにくい日本の警告文、なぜ? 今回の改訂の目玉は、警告の文字を大きくし、色を白か黒に限定して見やすくすることだ。また、財務省が示した改訂後の警告の例は、「望まない受動喫煙が生じないよう、屋外や家庭でも周囲の状況に配慮することが、健康増進法上、義務付けられています」。従来の警告よりも短くなっている。 一方、他国では「喫煙は殺す」(フランス)、「喫煙はゆっくりと痛みを伴う死につながる」(ベトナム)、「あなたの煙を他人に吸わせるな」(豪州)などと直接的で簡潔な文言が目立つ。ブラジルではパッケージ上部に「死」「毒の煙」「壊死(えし)」といった単語を記している。 また、英国、ノルウェー、豪州などではたばこの箱に銘柄のロゴを印刷することを禁止し、銘柄名はごく小さな字で書かれているだけだ。ただ一方で、共通する数種類の画像や警告文が大きく印刷されている。 禁煙で健康な人が増えれば、医療費の削減につながり、財政の健全化にも効果が見込まれるはず。なのになぜ、日本の警告は諸外国に比べてソフトなのか。 日本禁煙学会の宮崎恭一・総務委員長は「たばこ産業側の理屈で動いている」と指摘する。「銘柄のロゴを見せるのは、つまり宣伝。画像や警告文はその否定だが、日本たばこ産業(JT)株の大株主でもある財務省は、そこに切り込まない」(神田大介)
各国の喫煙率(2016年WHO調べ、単位は%)デンマーク 19・1ブラジル 14・0オーストラリア 14・8イタリア 23・8カザフスタン 25・1フランス 32・9インド 11・3トルコ 27・6パキスタン 19・8ベトナム 23・5ミャンマー 20・8北朝鮮 データなし日本 22・5米国 21・9中国 25・2

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