ケアマネらにも処遇改善を―NCCU緊急調査 新加算の対象事業所限定に反対

キャリアブレイン 2018年11月16日

 居宅介護支援事業所、訪問看護事業所、福祉用具貸与事業所が2019年10月に予定される介護人材の処遇改善加算の対象から外れれば、介護現場の職員の間にあつれきが生じ、ケアマネジャーを目指す人材や訪問看護師がいなくなる-。日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、組合員を対象に実施した緊急調査の結果を踏まえ、このような危機感を示した。この結果を基に、介護職員全体の処遇改善を求めていく。
 社会保障審議会介護給付費分科会では「新しい経済政策パッケージ」が閣議決定されたことにより、消費税引き上げに伴う介護人材のさらなる処遇改善策について議論が進められている。現在、「処遇改善の対象については経験・技能のある職員に重点化すること」と、この趣旨を損なわない程度で、介護以外の職種への配分を含めた「柔軟な運用を認めること」を前提として具体的な加算の運用について協議されている。
 NCCUによると、10月31日の同分科会では厚生労働省から、処遇改善の対象から訪問看護事業所、福祉用具貸与事業所、居宅介護支援事業所が外されると受け取れる資料の提示や説明があったという。これらの事業所では介護職員の割合が少ないことが根拠となっている。これを受け、NCCUでは現場でチームや職員間の連携に障害が生じることなどを危惧し、全国の組合員を対象に緊急調査を実施した。
 調査では、3種の事業所が新たな処遇改善の対象外になることについて賛否を尋ね、11月1日から7日までの1週間で2737人から回答を得た。それによると、「反対」(52.6%)と「どちらかと言えば反対」(12.9%)を合わせた反対が65.5%に達した。職種別に見ると、居宅のケアマネジャー(「反対」84.4%、「どちらかと言えば反対」5.7%)などだけでなく、介護職(「反対」41.4%、「どちらかと言えば反対」15.1%)など当事者以外の職種でも過半数が反対し、「国は、在宅介護推進の方針を示しているが、これでは逆行している」といった意見があったという。
 また、NCCUでは、介護福祉士の資格の有無についても調査。居宅介護支援事業所のケアマネジャーの82.5%が取得している状況に触れ、「介護福祉士の資格を取得して、さらに専門性・キャリアを高めるためにケアマネジャーを目指す職員が多い中、現場職員のモチベーションを大きく下げるもの」と憂慮している。訪問看護事業所の看護職についても、「医療現場との賃金格差が広がれば、介護現場からますます看護職がいなくなる」との見通しを示した。

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