難病助成、認定率に開き…49~97%「疾患別に判断基準」
YOMIURI ONLINE 2018/10/19
難病医療法に基づいて公的な医療費助成を受ける難病の重症患者などの認定率に、疾患によって49~97%と大きな差があることが、厚生労働省の全国調査で分かった。18日の難病対策委員会で示した。
厚労省は2015年の同法施行に伴う助成の経過措置が今年1月に終了したことを受け、難病患者の医療費の受給状況を調べた。従来、助成を受けていた71万7000人のうち、引き続き受給者として認定された人は57万人。軽症を理由に認定されなかった人は8万6000人だった。
疾患別で認定率が高かったのは、記憶力低下や歩行障害が出る亜急性硬化性全脳炎97%、脊髄小脳変性症93%、パーキンソン病関連疾患92%など。低かったのは皮膚病の 天疱瘡 49%、脳の血流が低下するもやもや病61%、潰瘍性大腸炎69%など。都道府県別の認定率も、高知県の69%から宮城県の86%まで幅があった。
同法によって医療費助成の対象となる難病は56疾患から331疾患に拡大された。助成対象は原則、重症患者に絞られ、以前から助成を受けていても、軽症と判断された人は打ち切られることになった。ただ、昨年末までは経過措置として、症状の軽重を問わず、助成が行われていた。
難病対策委員会の千葉勉委員長(関西電力病院長)は「重症度の判断基準は疾患によって異なるが、患者が不公平感を抱きにくいよう、今後、見直しの検討が必要だ」と話している。
【解説】患者の実情踏まえて、議論を
医療費助成を受ける難病の重症患者などの認定率に、疾患や都道府県によって差があることが分かった。厚生労働省は「症状を抑える薬が出た疾患は、重症者の認定率が低くなる。バラツキがあるのは当然だ」と説明する。
重症度の判断は、介助の必要性など、国の基準に従い、自治体による研修を済ませるなどした難病指定医が行っている。ただ、患者団体「日本難病・疾病団体協議会」の森幸子代表理事は「差の大きさに驚いている。重症度を認定する基準に差がないか、国は精査してほしい」と指摘する。
難病医療法が2015年に施行され、56疾患だった助成対象は300以上に増えた。患者の不公平感をなくすのが狙いだったが、調査結果を受け、患者から不満の声が上がることも予想される。同法は施行後5年以内に見直しを検討することになっている。症状が一時的に良くなっても、再び悪化する疾患もある。今後は患者の実情も考え、議論してほしい。(医療部 安藤奈々)
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