【兵庫】増加続ける認知症 治療に力入れる病院/兵庫・丹波市

丹波新聞 2018/10/15

 昨年、事業認可80周年を迎えた精神科、心療内科の香良病院(兵庫県丹波市氷上町香良、石井敏樹院長)が、増加を続ける認知症患者の治療に力を入れている。認知症専門医による「物忘れ外来」や、看護師、作業療法士を中心とした病棟でのレクリエーションを通じた認知機能改善の取り組み、認知症状のうちの行動・心理症状を薬の調整で改善し、1―3カ月以内の退院をめざすほか、家族の介護疲れを緩和するために一時的に患者を入院させる「レスパイト入院」も行っている。

入院1・4倍 初診者数は2倍に
 同病院が立地する兵庫県丹波地域の医療機関で唯一の認知症病棟(60床)は、直近の4年間で年間の実入院患者が約1・4倍に増加=表1。同病院の認知症患者(アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型、前頭側頭型の「4大認知症」の診断がついた人)の初診者数も、過去5年で2倍に増えている=表2。
 認知症病棟は、名の通り認知症患者が入院しながら投薬治療を受けて症状を落ち着かせ、「夜は眠り、朝起きる」といった生活リズムを整え、自宅や施設に退院することをめざすもの。
 週5日、日中はぬり絵をしたり、音楽を聞くといった個人活動、カラオケ、映画鑑賞、回想法といったグループ活動を行う。病棟にこもらず、季節の変化を感じる「外気浴」などにも取り組んでいる。退院後も、外来でフォローする。
 入院して初めて介護認定の申請をする患者も少なくないという。家族が気付かず、困り果てて病院にかかると重度の認知症だったというケースがままある。
 井口恒看護師長は、「施設は入所待ちが続いているが、夜眠れる生活習慣が施設の受け入れにつながる」と現場の実状を話す。

早期治療で少量の薬でも奏功
 認知症の治療に使われる薬は、認知症の中核症状の記憶力などに働きかける薬と、介護者らの疲弊につながる不安・抑うつ、興奮しやすさ、妄想・幻覚や睡眠障害など周辺症状の改善につなげる向精神薬がある。
 「認知症の薬は内科医も慣れているが、向精神薬は精神科医が最も使い慣れている。向精神薬の使い方で、その後の経過も違って来る」と、認知症専門医(日本老年精神医学会専門医、指導医)の稲田貴士副院長。
 行動、心理症状は、認知症の前段の「軽度認知障害」でも出現することから、早期、初期から治療することで、少量の薬で奏功しやすいと、早めの受診を呼び掛ける。

「ADAS」検査の道具を見せる臨床心理士
家で囲い込むうち重症化
 認知症が疑わしいと思っても、「自分たちが面倒を見られるうちは家で」と囲い込むうちに重症化し、家族が疲れてしまうといったケースはよくあるという。 
 認知症かどうかの診断は「物忘れ外来」で対応する。初診は1時間ほどかけて診察する。CT検査で、硬膜下血腫など別の治療が必要な病気を除外するほか、甲状腺機能が落ちていないか血液検査を行う。問診では、一般的に使われる簡易知能検査「長谷川式」のほか、必要に応じ臨床心理士による長谷川式より詳しく調べる「ADAS」検査を通じ、より正確な鑑別診断につなげている。
 丹波市の第7期介護保険計画(2018―20年度)によると、認知症の診断はついていないものの、要介護認定の日常生活自立度「2a」以上の認知症該当者は、2017年が2441人。09年は1722人だった。

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