ACPの愛称公募に1070件、11月に決定 医療部会、厚労省の2019年度概算要求なども議論

M3.com レポート 2018年9月27日 (木)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は9月26日の社会保障審議会医療部会(部会長;永井良三・自治医科大学学長)で、今夏行ったACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称公募で、1070件の応募があったことを明らかにした。公募は8月13日から9月14日の1カ月間実施。10月頃に「ACP愛称選定委員会」を開催し、11月頃には愛称を決定する。
 同省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」は今年3月に、取りまとめを行い、ACPの普及・啓発の必要性などを盛り込んだ。「経済財政運営と改革の基本方針2018」でも、ACPの全国展開を打ち出し、「国民になじみやすい名称の一般公募・選定」などを求めていた。
 医療部会では、ACPの普及や、終末期医療の在り方も議論になった。患者の立場から、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「普及・啓発のリーフレットを作成するだけではく、広報が必要」と指摘し、学校教育の中に組み込むほか、さらに人の気持ちは変化することから、ACPは一度書いて結論を出すのではなく、継続的にACPについて話し合っていく体制づくりも求めた。
 政策研究大学院大学教授の島崎謙治氏は、ACPの法的な位置付けを明確にすることが必要だとした。患者本人がACPを文書で残していても、家族が救急者を呼ぶと、救急隊は延命治療を望んでいると判断すると指摘し、「丁寧な意思決定をしても、何のためだったのか、となる。事前指示書だけでは、法的な拘束力は弱い」。
 上智大学法学部教授の岩田太氏は、総務省の検討の場でその辺りを検討していることを紹介。「救急隊は、人の命を助けることが使命だと思っている」と述べ、心肺蘇生を患者が望まない場合の対応などを議論していると説明した。

社保審医療部会では、医師の働き方改革についても議論(『急速な働き方改革で医療崩壊、誰が責任を取るのか』を参照)。
 厚労省、地対協の運営で文書発出予定
 9月26日の医療部会ではそのほか、「医師の働き方改革に関する検討会」(『急速な働き方改革で医療崩壊、誰が責任を取るのか』を参照)や「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」の議論の状況や、2019年度概算要求などが報告された。
 2019年度概算要求では、今通常国会で成立した改正医師法・医療法への対応として、「地域間の医師・診療科間偏在の解消など医師偏在対策の推進」が主要施策の一つに上がっている。
 関連して、日本医師会副会長の中川俊男氏は、各都道府県における地域医療対策協議会(地対協)の運営について示した7月25日の厚労省医政局長通知に関して質問。法改正に伴い、地対協は、医師確保に関係する複数の会議体を一本化して運営することが求められる。中川氏は、医師会員からの声を踏まえ、「地対協の増員は最小限にとどめるとされているほか、ワーキンググループの設置は(厚労省に)ダメだと言われたケースがあるなど、現場が非常にやりにくくなっている」と説明、その上で「厚労省はがんじがらめにして、都道府県を管理しようとは考えていないと思う」と述べ、都道府県が誤解なく運営できるよう、通知等を出すよう求めた。
 厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、「都道府県の組織をがんじがらめにすることはしない」と述べ、何らかの文書等を作成すると回答した。
 予算の関連ではそのほか、「災害医療体制の充実」で「DMATカー導入促進事業」が盛り込まれていることから、全国自治体病院協議会会長で、砂川市立病院名誉院長の小熊豊氏が、先の北海道胆振東部地震の際、全道が停電になり、在宅酸素の患者等を搬送する救急車がなく、対応に困った状況を紹介。
 中川氏は、「災害は日常的に起き得る」と指摘し、「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」の議論等を踏まえ、具体的な行動計画を早急に作成し、災害等に対応できる体制づくりが急務であると警鐘を鳴らした。

「ポチッ」して頂けると励みになります♡

仲間募集中

業務拡大につき、看護師、理学療法士、作業療法士、事務職+保育士・歯科衛生士・栄養士・管理栄養士さんを募集中。
週1回1時間から働ける柔軟で明るい職場で、子育てママや社会人学生も在籍。
すぐに考えていないけれど、少しでも御関心があれば、とりあえず雑談させて下さいませ。

コメントを残す