【北海道】住み続けられる町目指す 北海道夕張、都市機能集約 「下り坂に立って 人口減・課題先進地」

共同通信  2018年9月3日

 2015年に1億2709万人だった日本の総人口は、30年後の45年には1億642万人まで減ると予想される。国立社会保障・人口問題研究所の推計によるもので、全国の市区町村の94・4%で15年より人口が減少。公共施設や住宅を集約し効率的に都市を運営する「コンパクトシティー」の必要性が叫ばれる。
 06年度に財政破綻し、人口がピーク時の1割未満の約8千人となった北海道夕張市も、住み続けられる町を目指し、新たな都市計画を進める。
 「数十年前まで、この地区には飲み屋街や小学校もあったのに」。同市・真谷地(まやち)地区の市営住宅一室で、仙北一也(せんぼく・かずや)さん(85)は当時の写真を眺め懐かしんだ。
 産炭地だった同市は大小24の鉱山を中心に集落が形成され、最盛期の人口は約12万人。エネルギー政策の転換で1990年までに全炭鉱が閉鎖され、急激に人口が流出した。市が炭鉱住宅の多くを取得したが、3千戸超の多くは空室となり、維持費が重くのしかかる。
 市は12年、東京23区より広い面積に分散する集落を、南北に走る主要道路沿いに20年かけて集約する計画を策定。第1段階として、五つの地域ごとに住宅の集約を進める。
 真谷地地区の住民らは当初「動きたくない」「放っておいてくれ」と反発。市は住民から「車いすでも生活しやすくしてほしい」「仲の良い人の隣に住みたい」といった要望を聞き取った上で、集約への理解を求めた。
 移転対象の全世帯が最終的に同意し、13~14年に市営住宅12棟を6棟に集約。大半の世帯が2階以下に住むようにした。建物の維持費は減り、住民にも暖房費や階段を上り下りする負担の軽減などメリットがあるという。
 仙北さんは妻を亡くしてから独り暮らしで、子ども2人は札幌市に住む。「財政破綻後にバスがなくなり、買い物は不便になった。子どもから札幌に来ないかと言われたこともあったが、生まれ育った土地を離れるつもりはない」と話す。
 夕張市と共に計画を進めてきた北海道大大学院の瀬戸口剛(せとぐち・つよし)教授(都市地域デザイン)は「コンパクトシティーという言葉が独り歩きし、行政の効率化の側面が強調されるが、住民の生活環境の維持も考慮しなければならない。理解を得なければ集約は進まず、行政側が住民と対話していくのが第一だ」と指摘した。
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 国の18年1月1日現在の人口動態調査で、北海道の減少数は全国最多の前年比約3万4800人だった。他の都府県より早いペースで縮小する北海道の市町村などから、日本の抱える課題を探る。

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