地域別診療報酬「絶対に容認できない」、日医横倉会長 第143回日医臨時代議員会、保険給付率自動調整にも留意

M3.com レポート 2018年6月26日 (火)配信水谷悠(m3.com編集部)

 日本医師会会長の横倉義武氏は6月24日の第143回日医臨時代議員会で、地域別の診療報酬設定について「日医も大変強い懸念を抱いている。地域別診療報酬による医療費抑制は絶対に容認できない」と述べ、断固反対する姿勢を改めて強調した。北海道代議員の藤原秀俊氏の代表質問に答えた。
 地域別診療報酬は、高齢者の医療の確保に関する法律第14条に基づいて厚生労働大臣が設定できる。2008年の施行から実施された例はないが、最近では奈良県知事の荒井正吾氏や財務省が活用を主張している。藤原氏は、奈良県医師会が5月24日に断固反対を表明していることを紹介した上で、「『蟻の一穴』となり、全国に波及する恐れがあり、奈良県医師会とともに総力を挙げて反対する必要がある」として日医に対応を迫った。
 横倉会長は、荒井氏や財務省が今年3~4月に主張を公にした直後に、記者会見で反対を表明済み(『日医横倉会長、都道府県別の診療報酬に改めて反対』)。答弁でも、現在、地域の医療関係者が将来の医療提供体制について議論していることについて、「医療費抑制のためでなく、地域の医療を守り、住民に必要な医療を将来にわたって提供するという、医療人としての矜恃。将来の地域医療の持続可能性を憂えればこそ、地域医療構想の議論を止めてはならない」と強調した。
 医療費抑制対策としては、日本健康会議などによる健康増進活動の重要性を強調。都道府県ごとに医師会や行政、経済界、医療関係団体、保険者などで健康会議を組織して健康寿命延伸を図る必要があると述べた。
 藤原氏は、財務省が主張している医療保険の給付率と患者負担率を自動的に調整する仕組みについても、日医の対応を質問。財務省の財政制度等審議会や自民党の「財政構造のあり方検討小委員会」で提案され、最終的な提言には盛り込まれなかったものの、横倉会長は「財政健全化の立場がこれからも少しずつ表現を変え、同様の主張を繰り返してくると思われるので、十分に留意してこれらの政策に対応していく」と危機感を示した。
 関連して、奈良県代議員の安東範明氏が、地域別診療報酬の検討に際して都道府県は保険者協議会での議論を踏まえる必要があるが、奈良県医師会が県側に対し、議決権を持つ構成員として医師会を参加させるように要望したものの、オブザーバーとしての参加しか認めない意向を示していることを紹介。各都道府県の状況の調査や、地域別診療報酬反対の新聞広告を打つよう日医に求めた。横倉会長は、厚生労働省を通じて医師会の保険者協議会への参画状況調査を促すことなどのバックアップを約束した。

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